精神・神経内科の疾患
「精神的ストレスで疲れる」「運動すると疲れる」「何もしないのに疲れる」疲れに違いはあるのでしょうか。
疲れの分類は幾つかありますが、代表的なものは、急性と慢性、末梢性(肉体疲労)と中枢性(精神疲労)の2つのパターンです。
末梢性疲労は、運動により筋肉のエネルギーが枯渇し、血流は悪くなり、筋肉のパフォーマンスが低下する状態を言います。
疲れというと以前は運動時に増える乳酸を疲労物質と呼んでいたこともありましたが、現在では逆に疲労(肉体)を抑制させるために増えているものであり、運動における疲れは脳(中枢性)にあると言われています。
運動中は筋肉を使うだけではなく自律神経も絶えず働いています。脳の中枢にある自律神経は、運動中の汗や心拍数・呼吸を整え、身体を正常に保とうとしているのです。
つまり、肉体疲労もアスリート並みのハードなトレーニングをしない限り、筋肉ダメージは僅かなものなので、脳の自律神経が疲れることで身体全体が疲れているように感じ休息を促しているのです。一時的な筋肉の炎症・痛みでは、疲れて休みたいにはならないということになります。
精神疲労の場合は、精神的ストレスにより、肉体疲労と同じように自律神経が疲れ、脳に炎症が起こり、正常な神経伝達機能が抑制された状態となります。長期化すると大脳の新皮質系(知的・理性)の機能が低下し、旧皮質(本能・情動)の活動を抑えられなくなり、不安や恐れ、興奮しやすくなったりなど、心のバランスも崩れやすくなってしまいます。
その他、季節変化、気象変化、寒暖差などへ対応も自律神経の役割です。
疲れの本質は、自律神経系のダメージです。疲れは脳で感じます。対処しないと生活に支障をきたすほどの慢性疲労になることもあります。コロナ後遺症、うつなども疲れとして捉えることができます。疲れは、生命危機を知らせるアラームであることを忘れずに日常を過ごしていきましょう。