三才堂薬局 -漢方・免疫療法-

眼科の疾患

テレワークと眼精疲労
2020年6月25日 17:51

新型コロナの影響もあり、働き方改革を進められる中、テレワークに絡む眼精疲労の相談が増えています。長時間のパソコン作業による体調不良は、眼症状以外にもイライラ・鬱などの精神症状、肩こり・腰痛などの骨格系症状などと様々です。これらの症状を一纏めにしてVDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome)と呼んでいます。

今回は、その中でも特に相談の多い眼の症状についてお話ししたいと思います。

東洋医学では、物を見る為には、肝血の充足が必要とされています。ピント調節を行っている毛様体筋は、血で養われることで収縮・弛緩を行われる為、血が足りない状況では、目の疲労感やぼやける等の症状が現れます。そして、見る機能を総合的コントロールしているのは肝気であり、気の流れが順調である必要があります。(ストレスは肝気を停滞させる)テレワークの眼精疲労は主に長時間にわたり物を見ることによる毛様体筋の機能低下です。そして、もう一つの大きな要因となるのはブルーライトの影響です。

紫外線の波長に近い380〜495nmの青色光であるブルーライトは、網膜の黄斑部まで到達し活性酸素を発生させて眼を攻撃します。この黄斑部の炎症により眼の老化を促進され様々な眼疾患を招くと言われてます。眼に良いと言われるルテインやゼアキサンチンは、黄斑部の前にバリケードを作っている抗酸化物質の構成成分として黄斑部を守っています。紫外線やブルーライトを浴びすぎて抗酸化物質が足りなると炎症を引き起こす為、これらの物質をサプリメントで補充することは、予防において大切です。治療においては、活性酸素による炎症を抑えることが出来ないといけませんので、眼の炎症に効果のある石決明、決明子、菊花、蔓荊子など洗肝明目作用のある生薬を使用する必要があります。

緑の植物を見たり、目を閉じたりして眼の筋肉を休め、適度な運動をすることでストレス発散(血行促進)が出来れば、眼の生理機能を維持しやすくなります(肝の気血が整う)。ブルーライトカットの様々なアイテムも利用しながら、目にやさしい新しい生活習慣を作ってみてください。

症例:50代前半の女性、毎日8時間以上パソコンに向かって仕事をしているうちに目の奥がチクチクするような痛みと朝は物がぼやけて見えにくいなどの症状がありました。目の奥の症状があることからブルーライトの影響があり年齢的な加齢の影響も考え、洗肝明目作用と補腎作用のある薬を選択し、更にピント機能の低下があることから毛様体筋の機能を補う補血薬と合わせて服用していただきました。1週間ほどで症状は改善し、現在は予防のために減量しながら続けています。

 

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