内科の疾患
糖尿病の基礎知識
糖尿病になると、インスリンが十分に働かないために、血液中に糖が溢れ高血糖となり、腎臓の濾過機能を越えた分の糖が尿から排泄されます。(糖尿病の名の由来)
糖尿病を治療せず放置すると、高血糖が続き糖代謝障害・慢性炎症になり、血管を中心に全身に様々な症状をおこします。(糖尿病の合併症は血管病です)
<インスリンの役割>
食べ物から摂取された糖質はブドウ糖に分解され血液中を巡り、様々な場所に運ばれてエネルギー源として利用されます。その際に細胞に入るドアを開ける役割を果たすものがインスリンです。(インスリンが働かないと糖が細胞内に入れず、エネルギー不足になる)
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、ブドウ糖をエネルギーに変えたり、脂肪に変換して溜め込んだりして、血糖値を下げる役割があります。
<糖尿病の分類>
糖尿病は大きく4つに分類されます。
Ⅰ、1型‥膵臓のβ細胞が破壊され、インスリン枯渇状態
A…自己免疫性反応によりβ細胞破壊。GAD抗体などの自己抗体で診断される
B…自己抗体が証明されない
Ⅱ、2型‥膵臓のβ細胞の疲弊によるインスリンの機能低下(C分泌低下、D抵抗性)
C…膵臓の機能低下により、インスリン十分に作られない
D…インスリンは十分に作られるが、反応性が悪くなり細胞のドアが開けられない
Ⅲ、その他の機序、他の疾患による二次的なもの
E…遺伝子異常
F…他の疾患や条件(内分泌系、肝臓、感染症、化学物質、薬物)
Ⅳ、妊娠糖尿病
中医学から見た「糖尿病」
中医学に於ける糖尿病は、のどの渇き、食べても瘦せる症状があることから、古典的病名は「消渇病」と呼ばれ、病気の進行度・症状により「上消」「中消」「下消」に分けて治療をしていました。しかし、現在は、糖尿病は慢性炎症であり血管病であるという西洋医学的な捉え方を取り入れて治療をするようになっています。
<中医学的分類と治療>
1、糖尿病予備軍・初期(上消タイプ)
暴飲暴食やストレス過多の生活が続くと、体内に熱が生じます。その熱が「肺」へ及ぶと、肺の水を全身へ巡らせる働きが低下するため、のどの渇き、多飲、頻尿、皮膚の乾燥などがみられるようになります。 → よく使われる方剤;白虎加人参湯、麦味参顆粒、百合参玉飲など
2、糖尿病中期(中消タイプ)
更に、体内に発生した熱が「脾胃(胃腸)」へと及ぶと、食べてもすぐにお腹が空いたり、食べても瘦せてくる、口臭がひどくなったりします。 → よく使われる方剤;温胆湯、防風通聖散、大柴胡湯など
3,糖尿病後期・慢性期(下消タイプ)
慢性化や加齢により、病が「腎(ホルモン系)」に及ぶと、膵臓や腎臓などの臓器の疲弊の症状である排尿トラブルが出ます。尿が多かったり(多尿)逆に少なかったり、尿の濁りなども見られます。 → よく使われる方剤;味麦地黄丸、杞菊地黄丸、八味地黄丸など
4、合併症の予防・すべての時期に併用
糖尿病は慢性の血管病という観点から、血管を守ることは重要です。例えば、老化に関わる物質といわれている「AGES」の産生抑制や排泄促進する漢方薬は、活血(末梢循環改善作用)により、要らないゴミを排泄・デトックスし血管を保護し、臓器を元気にします。 → よく使われる方剤;冠元顆粒、三七人参、血府逐瘀湯など
*高コレステロール血症などの脂質異常症のある人は、脾胃を強化し「痰湿」(コレステロールなど)を除く必要もあるため、中消タイプの漢方薬も併用されます。
< まとめとして >
西洋医学の治療で血糖値をコントロールすることは重要です。高血糖状態が続くと、炎症が増大し「糖尿病性腎症」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性神経障害」などの合併症を引き起こす危険があるためです。
それに対し、中医学では、体質的なアプローチで体調を整え、微小循環を改善・維持して血管の保護、膵臓や腎臓などの臓器の機能維持・改善する効果が認められています。(補腎活血法)
一人ひとりの体質や原因に併せた根本的な対策で、健康長寿を目指していきましょう。