胃腸科の疾患
過敏性腸症候群の漢方・中医学的な捉え方
2022年12月8日 14:19
過敏性腸症候群は、原因不明の繰り返す腹痛・下痢・便秘・腹部違和感を訴える病気です。便の形状と頻度から4つの型に分けられており、ストレスとの関連性が高い病気と言われています。
西洋医学では食事療法と腸の運動を調整する薬を基本治療とし、更に4つの型に合わせた薬を投与しますが、東洋医学では「ストレスによる気滞」を重視し「気」の流れ・巡りをよくする薬を用います。
気の流れをよくする「疎肝薬」である柴胡・芍薬・木香を主役とし、冷えて症状が悪化する場合は乾姜・蜀椒、ストレスが強くかかり炎症(熱)がある場合は黄連・黄芩などを加えて治療薬とします。(例えば、四逆散・桂枝加芍薬湯・大建中湯など)
生き物の進化においては、腸から脳が作られていることから腸と脳は密接な関係があると言われています。最近では「腸脳相関」という言葉を耳にすることもあるかと思いますが、脳から腸にストレスを伝えるだけではなく、脳がストレスを感じてない時でも腸は反応して脳にそのストレスを伝えることもあります。
治療のポイントは、腸と脳にストレスによる炎症を起こさせないこと、腸においては間違った食生活による炎症にも注意をする必要があります。ストレス病は治療に時間がかかることが多いのですが、焦らずに治療していきましょう。食養生については、様々な小冊子やパンフレットを用意しておりますので、お尋ねください。