三才堂薬局 -漢方・免疫療法-

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夏の養生法
2024年7月9日 15:08

中医学での夏は,立夏から立秋前までを指します。夏には,大きいや盛んという意味もあり、陽気が最も盛んになり、作物も大きく成長する時期です。汗をかきやすく、夏バテや熱中症を起こしたり、冷たいものを摂り過ぎて、食欲不振や下痢をしたりしますのでその養生法をお伝えします。夏は,暑邪(前回のブログでお伝えしました六淫の邪の一つ)による病、体調不良が引き起こされます。

[暑邪の性質〕

①炎上、陽熱→身体に過剰な熱がこもり、熱中症や高熱、顔が赤い、口渇、イライラして怒りっぽくなる、ほてりで不眠。十分な睡眠がとれず夏バテ。

②昇散、気(エネルギ-)と津液(身体に必要な体液)を消耗→多汗、口渇、動悸息切れ、疲労感、尿が少なく色が濃い。

③暑は湿を挟む→暑邪(口渇)+湿邪(体が重だるい)、脾(消化器)の働きが湿邪で低下し、胃もたれ、食欲減退、下痢。ジュクジュクして赤い皮膚疾患の悪化。

夏は,心(心臓、血液循環系、精神神経系)と関連していて、心拍数が速くなったり、ドキドキしたり、不眠気味になったりします。

〔対策〕

十分な睡眠で疲労回復をして、暑さで寝不足の時などは、昼寝もオススメです。身体を動かす時は朝夕の涼しい時間を活用しましょう。汗によって失われた体液もしっかり補給。夏でも温かい食事が基本で胃腸を冷やさず、冷たいものの過食に気を付けてください。入浴も湯船に浸かって、血行促進するとよいです。なお、冬病夏治(とうびょうかち)といって、冬に悪化しやすい病気(喘息、リウマチ、冷えなど)は、夏にしっかり養生すること(体を冷やし過ぎず、汗を適度にかく)で予防することができるといわれています。

〔夏にお勧めの食材や生薬〕

「暑さから体を守り、体内の余分な熱を冷ます」

・アスパラガス、いんげん豆、小豆、緑豆(もやし)、じゅんさい、トマト、瓜類(スイカ、きゅうり、苦瓜、ズッキーニ、なす、ヘチマ、冬瓜)アワビ、シジミ、イチゴ、キウイ、パイナップル、パパイヤ、メロン、緑茶、ハイビスカス

・薄荷、荷葉、蓮芯、淡竹葉、金銀花

「心を養い不安を取り除く」

・小麦、ココナッツ、ひじき、百合根

・竜眼肉、五味子、蓮子、酸棗仁、麦門冬、百合

「体液を増やし、口渇を止める」

・豆腐、豆乳、葛、アスパラガス、オリーブ、冬瓜、すいか、きゅうり、オクラ、レンコン、百合根、きくらげ、白きくらげ、トマト、梅、イチジク、マンゴー、びわ、ライチ、ザクロ、レモン、葡萄、クランベリー、ココナッツ、牛乳、甘酒、緑茶

・山薬、西洋参、麦門冬、五味子、玉竹

「身体のエネルギーを補い、脾(消化器系)を健やかにする」

・米、山芋、小麦、トウモロコシ、ナツメ、ココナッツ、人参、アボガド、葡萄、鰻、鮭、スズキ、穴子、鴨肉、鳥の砂肝、大豆製品

・党参、黄耆、山薬、ヨクイニン

「湿を取り除き、利尿」

・大麦、春雨、豆、さやいんげん、キャベツ、セロリ、白菜、もやし、レタス、瓜類、じゅんさい、トウモロコシ(ひげも含む)海藻類、鮎、鯛、鯉、ハモ、スズキ、アサリ、さくらんぼ、スモモ、葡萄、マンゴー、コーヒー、紅茶、ウーロン茶

・茯苓、ヨクイニン、車前子、赤小豆

体質に合った夏バテ予防の漢方薬を服用しつつ、食べ物を含む養生を上手に取り入れた生活をするとより快適な夏をお過ごしになれると思います。今年の夏もどうぞご自愛くださいませ。

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