その他の疾患
一般的に栄養失調というと身体を構成するタンパク質の不足を言います。タンパク質を摂取すると分解されてアミノ酸に変化しますが、それを肝臓で再合成して作られるアルブミンタンパクは栄養状態の指標としても使われているくらいです。
現代型の栄養失調とは、タンパク質の不足ではなく、現代人が不足しがちな栄養素の不足という意味で使われる言葉です。また、昔の日本人では足りていたものが、現代人では足りないことも意味します。
現代の食事は高カロリー・高タンパク・高脂質といわれ、それを消化・代謝・排出する際に必要な物質が不足しがちになっています。それがミネラルやビタミンなどであり、これらの不足が現代型の栄養失調の正体です。
それでは、現代のミネラル不足の原因は上記の高三大栄養素だけでしょうか。いいえ、それ以外にも注意すべき点が3つあります。
1. 水煮食品の増加
外食産業の原材料としては、値段の安い水煮冷凍食品が使われる傾向があるそうです。水煮にされた食品はミネラルが流失しやすく、栄養バランスの良さそうな惣菜や幕の内弁当でさえ実測すると計算上の推定値を大きく下回るといわれています。
2. 「リン酸塩」加工食品の増加
食品添加物のリン酸塩は、原料とする魚肉の水分保持や結着性を高める効果などを期待し使用されています。リン酸塩は体内に入るとカルシウムや亜鉛などのミネラルと結合し排出するため、ミネラル不足の要因になります。
3. ダシ文化の変化
時短料理が好まれ、様々な加工品、代用品が使われるようになりました。和食食材でミネラル補給の役に立ってきたダシ。そのダシの代用品として、うま味調味料(酵母エキス)などが入った加工品が使われるようになり、ミネラル補給が不十分になってきています。
ミネラル不足で起こる症状は多岐に渡ります。骨の形成、興奮の抑制、筋肉の収縮、基礎代謝の促進などなど。特に子供の精神面への影響は大きく、発達障害・摂食障害・キレやすい人の中には食生活の改善だけで治療ができるケースも少なくないようです。次回は、この3つの要因を踏まえたミネラル不足の具体的な解消法をお伝えします。
☆国立国際医療研究センター・臨床研究センターは、「Mg・ Ca・Fe・Znなどのミネラルを多く摂取している人は抑うつ症状が少ない」という疫学調査を学術雑誌Nutritioneに発表しています。
<参考>
食事でかかる新型栄養失調
キレなくなった子どもたち
みゆきクリニックHP