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生理痛はないのがあたりまえ
生理は、黄体期に産生されるプロスタグランジンが子宮筋を収縮することで、剝がれ落ちた子宮内膜を排出する現象です。通常、下腹部の血行が良く子宮の状態が整っていれば痛みは感じません。しかし、子宮筋収縮が強くなる原因があると痛みを感じます。
子宮筋収縮が強くなる原因は主に3つあると言われています。
①産生されるプロスタグランジンの量が多い。
②頸管が狭い(若い世代・未産婦の人)。内膜の排泄が上手くいかないため、過剰に収縮することで排泄を促す。
③下腹部の冷え。冷えると骨盤内にプロスタグランジンが停滞してしまい、収縮が強くなる。
それでは、これを漢方的(中医学的)に捉えてみましょう。
➊気滞血瘀タイプ
原因はストレスです。ストレスがかかると血管が収縮して血行が悪くなり血液が滞ります。その場所においての機能が低下します。この状態を気滞血瘀と言います。このタイプの治療に使われる活血薬には、抗プロスタグランジン作用を持っていると言われており、直接的に子宮筋収縮を抑えるほか、身体のゴミ掃除・デトックス効果が期待できます。(主に原因①、②に関与)
このタイプの人は、月経前~月経前半に張った痛み、或いは刺すような、絞られるような痛みを訴えます。経血にレバーのような血塊が見られることも多く、生理周期も乱れがちです。
❷寒邪タイプ
自然界の法則として、温度が低くなると、物は固まったり収縮します。これは人体でも同じで、冷たい飲食を摂取すると子宮が冷えて筋肉が固くなり痛みます。(原因③に関与)
このタイプの人は、月経前~月経前半に冷えを伴う痛み、或いは絞られるような痛みを訴えます。この痛みは温めることによって緩和されます。経血はスッキリ出にくかったり、少量の黒ずんだ血塊が見られることがあります。
❸気血虚弱タイプ
活動エネルギーである「気」と栄養を運ぶ「血」が不足し身体が十分に養えないため、子宮も栄養不足になります。(子宮の栄養不足による痛み)
このタイプの人は、他のタイプと違って強い痛みではなく、月経の後半を中心に鈍痛が長く続きます。月経期は倦怠感が強く現れ、経血は色が薄くて量が少ない傾向があります。
以上のように大きく3つのタイプに分けられますが、実際の臨床においては、ほとんどの人は原因が複合的に絡んいるため、スッキリ分けることができません。
また、特定の病気がない時の生理痛である「機能性月経困難症」と生理痛の60~70%を占める子宮内膜症や子宮筋腫などの病気によって引き起こされる「器質性月経困難症」とでは治療方針が異なります。病気が引き金になるものは原因となる疾患の治療が最優先となりますので、御自身だけで判断せずに専門家へご相談ください。
<鎮痛剤の問題点>
一般的な消炎鎮痛剤は、抗プロスタグランジン作用により炎症を抑え痛みをとることは出来るのですが、中医学の活血薬と違ってデトックス効果がないため、本来、剝がれ落ちるべき内膜を残してしまい「子宮内膜症」を誘発する可能性があります。また、血管収縮作用もあることから血行不良をまねくこともあります。