三才堂薬局 -漢方・免疫療法-

コラム

生薬のはなし・黄耆
2022年2月10日 13:25

黄耆は、マメ科キバナオウギの根を乾燥したものです。

:薬理作用:

補気升陽(全身の気を補う、ダラッと垂れ下がった下垂の状態にある臓器を持ち上げる)、

固表止汗(衛気を強化しバリア機能を高め、皮膚の汗腺をシャキッとさせて引き締めることで汗を止める)、

利水消腫(腎機能を助けて体の余分な水を排出し、むくみや腫れを除く)、

托毒排膿(気を補うことで、膿を作るような皮膚病の毒を排出させる)

 

身体を元気にする代表的な「補気薬」で、朝鮮人参と並ぶ有名な生薬です。朝鮮人参が心臓や肺・胃腸など内側の臓器を中心に気を補うのに対して、黄耆は皮膚や粘膜など体表面を強化する作用(「衛気」を補う)があります。

「衛気」の働きとは、皮膚や鼻、気管支などの粘膜細胞を強化して免疫力を整え、外的刺激から身体を守(衛)ること。つまり、体表部や体内の粘膜のバリアの役割をしているものです。

「衛気」が不足しバリアが弱くなると、皮膚や粘膜からウィルスや細菌、花粉、ほこり、化学物質などが体内へ侵入しやすくなります。

衛気の働きを強める黄耆を用いた「玉屏風散」という処方が中国にあります。体の表面に屏風を立てて外からの邪気を防ぐというのが名前の由来だそうです。中国で広く使われていたこの薬が日本でも発売されています。

花粉症、蕁麻疹など皮膚に炎症を起こしやすい、風邪をひきやすい、汗をかきやすい、疲れやすい、息切れしやすい方にお勧めです。

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