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睡眠・東洋医学編
2024年5月1日 14:58

東洋医学では、人は自然界の変化・リズムに合わせ生活することが大切な養生法とされています。

それは東洋哲学である「陰陽理論」で説明できます。陰陽とは自然界・宇宙の全てのものは2つに分類する言葉で、この陰と陽の間は「対立」「可分」「互根」「消長」「転化」の5つの関係で成り立っています。(今回はこの関係については触れません)

1日のリズムで考えると、朝から夕方までの明るく・活動的な時間帯が「陽」、夕方から翌朝までの暗く・休息安静の時間帯を「陰」として捉えます。睡眠は休息安静のための行動(陰の活動)であり、陰の時間帯にとることが自然のリズムに合っています。

 

古典的な養生法

最も古い中国医書として知られる『黄帝内経素問』に四季に応じた睡眠法の記述があります。

 

一、春は「発生」の季節、天地のものすべてが生まれる。夜は少し遅く寝て朝は早く起きる…

二、夏は「成長」の季節、天地の気が交わり万物が成長する。夜は遅く寝て朝は早く起きる…

三、秋は「収斂」の季節、万物が成熟して実を結びます。夜は早く寝て朝は早く起きる…

四、冬は「閉蔵」の季節、万物が生気を閉じ込める。夜は早く寝て朝は遅く起きる…

明かりや冷暖房のない時代ですから、日照時間や気温に合わせた睡眠法となります。

*現代では年間を通して午後10時頃に休み7時間程度の睡眠をとる養生法が一般的良い睡眠法と言われています。

 

睡眠の役割

睡眠は休息安静の時間ですが、全てが休んでいるわけではありません。日中はエネルギーを大量に使って活発な活動であるのに対して、静かな活動となっているだけです。日中に消耗したものを回復させ、次の日のエネルギーを補充します。具体的には3つの役割があります。

陰の時間に「陰」を補う。 ここでいう「陰」は肉体・血液などの物質面をさし、睡眠時間の不足・浅い睡眠状態では、身体の修復が不十分になってしまいます。(陰虚になる)

「陰」は「陽」を作り出すもと。 ここでいう「陽」は気・エネルギーをさし、陰の修復・補充が不十分だと翌日のパワー不足を招きます。(気虚になる)

陰の時間に「陽」を消耗させない。 修復の時間帯に激しい活動を続けると、エネルギー不足を補うために「腎精」(両親から貰った生命力)からの蓄えを引き出し、命を消耗させます。(腎虚になる)

 

まとめ

睡眠は、自然のリズムを感じ、合わせとることが大切です。「寝る時間がっもったいない」と寝ないで頑張って勉強や仕事をしても、正確性・判断力が低下したり、精神面に影響してイライラ・不安感があらわれたりするものです。睡眠の役割(意義)を知り、日中のパフォーマンスを落とさず、健康に長生きするためにも、夜の休息安静の時間を大切にしましょう。

 

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